人中短縮術(サブナザル・リップリフト)
上唇皮膚を短縮し、赤唇露出と上前歯の見え方を整える外科治療
この治療について
人中短縮術は、主に鼻の下の皮膚をbullhorn状に切除し、上唇を上方へ固定して鼻下から赤唇までの距離を短縮する外科手術です。加齢や生来の長い上唇で隠れた赤唇と上前歯の露出を増やし、顔下部の比率を整えます。切除量、鼻翼基部・鼻柱との接続、深部固定、外鼻孔底の処理は解剖に合わせて設計します。
フィラーで唇の容量を増やす治療や、ボツリヌストキシンのlip flipとは作用点・持続性・瘢痕リスクが異なります。短い上唇、歯肉露出、口唇閉鎖不全、上顎や歯の位置が主因の場合には適さず、笑顔を含む動的評価が必要です。日本では2026年の日本美容外科学会に専用セッションと多数例の術式報告が組まれ、地域トレンドのシグナルとなっています。
作用機序
鼻下切開から余剰皮膚を切除し、口輪筋上の組織または深部を鼻基部へ固定して皮膚張力を分散します。上唇の皮膚長が短くなると赤唇が外反し、安静時の上顎切歯露出が増えます。浅い皮膚切除のみ、深部固定、鼻孔内へ瘢痕を延長する変法などがあり、過剰切除や不均一な張力は鼻翼・鼻孔・笑顔の変形につながります。
適応症
期待される効果
腫れと口元のつっぱりは数週で改善しますが、鼻下瘢痕の赤み・硬さは6-12ヶ月かけて成熟します。2026年の系統的レビュー(7研究、1,754例)では、人中長は14.0-14.5 mmから10.8-12.0 mmへ、赤唇高は5.0-6.0 mmから7.0-9.0 mmへ変化し、平均GAISは4.4/5、再手術率は0.6-6.7%でした。ただし研究は中等度品質で術式・評価時期の異質性が高く、メタ解析はできませんでした。切除した皮膚は戻りませんが、加齢変化や瘢痕拘縮、左右差は残りえます。
臨床エビデンス
リスク・副作用
鼻下に永久瘢痕が残り、赤み、硬さ、肥厚性瘢痕、瘢痕陥凹が目立つことがあります。腫れ、内出血、疼痛、感染、創離開、しびれ、左右差、過剰・不足切除、口唇閉鎖不全、笑顔・発音の違和感、鼻翼の広がり、鼻孔・鼻柱形態の変化が起こりえます。再手術は瘢痕成熟後まで待つことが多く、ケロイド傾向、喫煙、短い上唇、歯肉露出が強い場合は特に慎重な適応判断が必要です。