リトレシチニブ(リットフロ)
JAK3/TEC阻害による円形脱毛症の初の経口JAK選択的阻害薬
この治療について
リトレシチニブは、JAK3とTEC族キナーゼに対する高度に選択的な阻害剤であり、円形脱毛症の治療を目的とした初の経口JAK選択的阻害薬としてFDAに承認されました(2023年)。JAK3はリンパ球(T細胞、NK細胞、B細胞)に限定的に発現し、バリシチニブのような汎JAK1/2阻害と異なり、より選択的な免疫抑制を実現します。円形脱毛症の自己免疫的T細胞浸潤の根本的な原因であるJAK3-dependent Th1/Tc1細胞分化を特異的に遮断し、毛包への自己免疫的攻撃を抑制して毛髪再生を促進します。
作用機序
リトレシチニブはJAK3とTEC族キナーゼ(ITK、BTK)に対して高度に選択的です。JAK3は特にIL-2R(T細胞受容体シグナリング)とIL-7R(T細胞生存シグナル)に関わり、これらシグナル遮断によりTh1とサイトトキシックT細胞(Tc1)の分化が抑制されます。ITKはTh1細胞からのIFN-γ産生を直接抑制し、BTKはB細胞活性化を抑制します。円形脱毛症では、毛包特異的自己反応性T細胞(毛母細胞に対する自己反応性CD8+ T細胞)が軽減され、毛包免疫特免を回復させ、毛髪再生が促進されます。JAK1/2阻害の汎的な免疫抑制と異なり、より選択的で安全性が期待されます。
適応症
期待される効果
初回投与後8~12週間で毛髪再生が開始され、6ヶ月で約60~70%の患者が80%以上の頭皮カバレッジを達成する報告があります。特に全頭型・汎発型では、バリシチニブより高い毛髪再生率が期待されます。
臨床エビデンス
リスク・副作用
感染リスクはバリシチニブより低いと考えられ、脂質値上昇やCPK上昇の報告も限定的です。頭痛、上気道感染が報告される場合があります。妊娠予定者への投与は避けるべきです。長期安全性データはまだ集積中です。