自毛植毛(FUE / FUT)
後頭部の自毛を移植し、生え際・密度を外科的に再構築
この治療について
自毛植毛は、後頭部・側頭部などの安定したドナー領域から毛包単位を採取し、生え際、前頭部、頭頂部、眉、髭、瘢痕部へ再配置する外科治療です。FUE(Follicular Unit Excision)は小径パンチで毛包単位を個別採取し、FUTは頭皮を帯状に採取して顕微鏡下で毛包単位へ分離します。どちらも移植先へのスリット作成とグラフト挿入を伴います。
DHIは主にimplanter penを使う植え込み工程の呼称で、FUE/FUTに並ぶ第三のドナー採取法ではありません。「サファイアFUE」やロボット支援も器具・工程上の違いです。自然さと生着はドナー設計、毛包損傷率、保存、植え込み角度、術者管理に大きく左右されます。新しい毛包を作る治療ではなく、有限なドナーを再配分するため、進行性AGA/FAGAには内服・外用を含む長期計画が重要です。
作用機序
後頭部・側頭部の毛包は前頭部や頭頂部よりアンドロゲン感受性が低い傾向があり、移植後もドナー部位の性質をある程度保持します。FUEでは毛包周囲を小径パンチで切開して1単位ずつ採取し、FUTでは帯状組織から毛包単位を顕微鏡下で分離します。採取した1-4本毛のグラフトを毛流・角度・密度を設計した受区へ配置し、血管新生後に新しい成長期へ移行させます。周囲の非移植毛はAGA/FAGAの進行を続ける可能性があり、ドナー量にも上限があります。
適応症
期待される効果
移植毛は術後2-8週で一時脱落し、通常3-4ヶ月から再成長、9-12ヶ月で主要評価、頭頂部や毛径の成熟は12-18ヶ月かかることがあります。外科的脱毛治療57研究のメタ解析では、非瘢痕性脱毛におけるグラフト生着率は手技群により約84.98-93.11%、満足率は約89.70-97.00%でした。ただし古い手技を含む異質な研究の統合値であり、個別施設の成績保証には使えません。生着した移植毛は長期維持が期待されますが、周囲の自毛は進行性に減る可能性があります。
臨床エビデンス
リスク・副作用
術後痛、前額部の腫れ、出血、痂皮、毛包炎、感染、一時的なshock loss、掻痒、知覚低下、生着不良、密度不足、不自然な生え際・角度、左右差が起こりえます。FUEでは点状低色素性瘢痕、毛包切断、過剰採取によるmoth-eaten状のドナー菲薄化、FUTでは線状瘢痕、創離開、肥厚性瘢痕・ケロイド、長引くしびれが問題になります。まれに皮膚壊死、重い感染、血管・神経損傷があります。無資格者への外科工程の委任は重大な安全リスクです。